2017年2月20日月曜日

Raspberry Pi に最適な microSD カードは?【検証してみた】


Raspberry Pi 3 はストレージとして microSD カードを使用します。microSD と言っても複数のメーカーから様々な規格のものが販売されており、一体どれを使うのが良いのかイマイチよく分かりませんでした。

そこで microSD をいくつか用意し、どの microSD が Raspberry Pi で使うのに適しているかを調べてみました。

用意した microSD カード


容量は 16GB
スピードクラスは Class10 を 2 種類と Class4 を比べてみます。

UHS スピードクラスについては Raspberry Pi 3 が UHS に対応していないため、あまり意味はないと思われます。

microSD のベンチマーク


USB 2.0 のカードリーダーを使用し、CrystalDiskMark で microSD の速度を測定しました。シーケンシャル(連続したデータ)アクセスとランダムアクセスの性能が計測されます。使用したカードリーダーと PC はそれほど性能が高いものではないので、測定値は microSD 自体の最大性能という訳ではなく、あくまで同一条件下での比較として見てください。

シリコンパワー 16GB Class10 の結果


トランセンド 16GB Class10 の結果


トランセンド 16GB Class4 の結果


読み込みはシーケンシャル、ランダム共にどの microSD もほぼ同じ値でした。今回の測定環境では転送速度の上限は 18MB/s 程度となっており、この範囲では読み込みで SD スピードクラスによる差はあまり出ないようです。Raspberry Pi のカードリーダーの最大転送速度は 20MB/s 程度らしいので、その部分がボトルネックになり、Raspberry Pi で使う場合にも同様な結果になることが予想されます。


書き込みはそれぞれのカードで異なる結果になりました。

シーケンシャル (Q32T1) の速度は速い方から以下の順になりました。

シリコンパワー Class10   14.70 MB/s
トランセンド Class10 8.597 MB/s
トランセンド Class4 5.610 MB/s

同じ Class10 でもシリコンパワーの方が書き込み速度が速いようです。


ランダム (Q32T1) の速度は速い方から以下の順になりました。

トランセンド Class4 1.517 MB/s
シリコンパワー Class10   0.815 MB/s
トランセンド Class10 0.608 MB/s

SD スピードクラスの数字から想像される結果とは逆になり、Class4 のカードが Class10 の 2 倍ほど速いという結果になりました。

Raspbian の起動時間


それぞれの microSD に Raspbian Jessie with PIXEL のイメージを書き込み、電源を入れてからデスクトップが表示されるまでの時間をストップウォッチで測定しました。

トランセンド Class4 19.04 秒
シリコンパワー Class10   25.62 秒
トランセンド Class10 30.86 秒

意外なことに Class4 のカードが一番速く起動し、ランダムライト性能の順位に準じた結果となりました。

ちなみに今回使った microSD はそれぞれ動作速度に差はありましたが、全て正常に動作しており、Raspberry Pi 3 との相性の問題はないようです。

結果から分かったこと


今回比較したものの中では、ランダム性能の高かった Class4 のカードが一番速く起動し、体感で分かる程の差が出ました。OS の動作時は様々なタイミングで様々なファイルが読み書きされるため、OS の動作速度はシーケンシャルの性能よりもランダムの性能に大きく左右されるのだと思われます。

SD カードを選ぶ時の基準として、容量と共にスピードクラスを見ることが多いと思いますが、Raspberry Pi で使用する場合に限れば、SD スピードクラスだけを見てもあまり意味がないのかもしれません。理想としては、シーケンシャル性能だけではなく、なるべくランダムアクセス性能が高いものを使うのが良さそうです。

まとめ


microSD の性能は、メーカー、容量、生産ロットによっても変わってくるため、どれが Raspberry Pi で使うのに最適かを断定することは難しいですが、今回の結果から見れば、シーケンシャル性能をそれほど追求していない Class4 程度の製品の方が逆にランダム性能が良い場合があり、Raspberry Pi で OS を動作させるのに意外に適している可能性はありそうです。

ただし、大きなサイズのファイルをコピーする場合など、シーケンシャル性能の恩恵がある使い方をする時にはスピードクラスの速い方が有利になるはずなので、どちらが良いかは Raspberry Pi の用途次第でもあります。

結局のところは、実際にそれぞれの環境・用途で使用してみなければ、どれが最適かは分からない、ということですかね…(^_^;

新しい規格の microSD


最近、新たな規格の microSD カードが発売されました。

その規格とは Application Performance Class1 (A1) (アプリケーション パフォーマンス クラス)と言うもので、スマホのアプリの動作速度向上のため、一定基準のランダムアクセス性能等を満たした SD カードのクラスです。(さらに高速な A2 という規格も発表されています。)
規格の特徴から考えると、この SD カードはスマホだけでなく Raspberry Pi での使用にも適していると思われます。しかし現時点では発売しているメーカーが少なく値段も高めなので、もう少し普及して価格が下がってきて欲しいところですね。今後の製品動向には注目したいと思います。

*追記 (
SanDisk Extreme 32GB microSDHC (A1対応) を購入したので、ベンチマークテストを行ってみました。

SanDisk SDSQXAF-032-GN6MAの結果

以前の microSD のベンチマーク結果と比較すると、SanDisk A1 の読み込みはシーケンシャルでは他と同様に差はありませんが、ランダムでは他に比べ 25 % 程度速く、書き込みではシーケンシャル、ランダム共に速度が大幅に高い結果となりました。

やはり A1 規格に対応した microSD はランダムアクセス性能が比較的高いようです。また、この microSD は U3, V30 スピードクラス対応でシーケンシャルアクセス性能も高く、書き込みでもカードリーダー性能の上限に近い値が出ました。

Raspbian Jessie with Desktop (2017-07-05) の起動時間

サンディスク A1 16.56 秒
トランセンド Class4   20.12 秒

今回起動テストに使った Raspbian Jessie は、以前の検証で使用したバージョンとは異なるため、以前の起動時間結果と単純比較することはできませんが、サンディスク A1 がトランセンド Class4 よりも速く起動することは間違いありません。

以上の結果を見ると、スペック的に当然とは言えますが、比較した中ではこの microSD が最もパフォーマンスが優れていました。実際に使ってみても、OS の動作が速いのはもちろんのこと、ファイルのコピーも速くスムーズで、他の microSD を使った場合に起きていた遅延などが全くありませんでした。Raspberry Pi で使う上での性能的な欠点はほぼ無さそうな印象です。

価格も発売当初に比べ下がってきているので、選択肢の一つとして考えても良いのではないかと思います。

関連記事:
Raspbian Jessie with PIXEL のインストール手順
Raspbian Jessie with PIXEL の初期設定

(追記 2017/05/21) 一部加筆修正を行いました。

2017年2月15日水曜日

Raspbian Jessie with PIXEL の初期設定

Raspberry Pi 3 に Raspbian Jessie with PIXEL をインストールし、Raspbian が起動できるようになりました。次はネットの接続や日本語表示で使うための設定を行い、デスクトップ PC として使える状態にしていきます。

コマンドを打ち込むのが面倒だったので、可能なところは極力マウス操作で設定を行いました。自分と同じくらいの Linux 初心者レベルの人に参考にしてもらえればと思います。

前回の記事: Raspbian Jessie with PIXEL のインストール手順

日本語環境に設定する


画面左上のラズベリーアイコンをクリックし、Preferences > Raspberry Pi Configuration を開きます。


Raspberry Pi Configuration ウインドウの Localisation タブをクリック。
Set Locale ボタンをクリックし、Locale を下記のように設定します。

Language:  ja (Japanese)
Country:  JP (Japan)
Character Set:  UTF-8


Set Timezone をクリック。
Timezone を Area: Japan に設定。


Set Keyboard をクリック。
Keyboard Layout を下記のように設定。

Country:  Japan
Variant:  Japanese (キーボードに合わせて適宜選択する。)

一般的な Windows キーボードは Japanese にしておけば問題なさそうです。


Set WiFi Country をクリック。
WiFi Country Code を下記のように設定。

Country:  JP Japan


全ての設定ができたら Raspberry Pi Configuration ウインドウの「OK」をクリック。
再起動するかを尋ねてくるので「Yes」をクリックして再起動します。


再起動後は日本語表示になり、キーボードの配列や時刻も日本に合わせた状態に変更されます。日本語化が不完全で部分的に英語のままですが、全て英語の状態よりは分かりやすくなると思います。

日本語表示になりました。

Wi-Fi の接続設定


無線 LAN ルーターに 接続する設定をします。当然ですが有線 LAN で接続する場合は不要です。

画像に矢印で示した部分のアイコンをクリックし、表示されたアクセスポイントの一覧から接続するルーターの SSID をクリックします。


ルーターの暗号化キーを入力して「OK」をクリック。


無線 LAN ルーターに接続されると下の画像のように扇型のアイコンになります。


日本語入力システムのインストール


ここまでの設定で日本語の表示はできるようになっています。しかしアルファベットの入力しかできず日本語の入力ができないので、日本語入力システムとして Google 日本語入力のオープンソース版である Mozc をインストールします。

1. まずターミナルを起動します。


2. 以下のコマンドを実行する。

sudo apt-get update
sudo apt-get install uim uim-mozc

インストール実行途中に続行するか聞かれるので「y」を入力しエンターを押して続行します。


3. インストール処理が終了し、メッセージが流れるのが止まったらインストールは完了です。インストール後に再起動を行い、画面右上の方に Mozc のアイコンが表示されるようになれば OK です。

Windows と同じように[半角/全角]キーで日本語入力のオンオフができます。

日本語フォントのインストール


ここまでの設定で、ぱっと見では日本語での表示に問題はないように見えると思います。しかしよく見ると、実はデフォルトの状態では中国語のフォントで表示されています。

左がデフォルトのフォント、右が日本語フォント

このままだと少し違和感がありますし、Raspbian Jessie with PIXEL に元からインストールされている日本語フォントは表示があまりきれいでもないので、代わりのフォントとして、Google と Adobe が共同開発し、無料で配布されている Noto Sans CJK JP をインストールします。

Noto Sans CJK JP は Android 6.0 の標準フォントにも採用されているもので、無料とは思えないほどデザインが美しく、Raspbian が別の OS になったかのように印象が変わります。Raspberry Pi をデスクトップ環境で使う場合には絶対に入れておいた方がいいと思います。

Google Noto Fonts
https://www.google.com/get/noto/

Noto Sans CJK JP のインストール方法
1.Noto Sans CJK JP」の zip ファイルをダウンロードし展開する。
2. ホームディレクトリ (/home/pi) に .fonts フォルダを作成する。
3. .fonts フォルダに展開した otf ファイルをコピーする。

注意: .fonts フォルダは隠しフォルダになり、ファイルマネージャでは通常は表示されません。上記の手順をファイルマネージャで行う場合は、表示 > 隠しファイルを表示する(ショートカットキー Ctrl + H でも可)で隠しファイルを表示させた状態で行ってください。作業後に Ctrl + H で再び非表示にできます。

フォントの変更方法
1. 設定 > Appearance Settings を開く。
2. System タブをクリックし、Font の選択項目部分(デフォルトでは Roboto になっている)をクリックする。
3. フォントの一覧の中から「Noto Sans CJK JP」を選択し、「OK」をクリックする。
4. OS を再起動する。


これでシステムフォントが Noto Sans CJK JP に変更されます。

Raspbian のメニューなどの表示は変わりますが、ブラウザの Chromium はフォントが DejaVu Sans のままなので、こちらもブラウザの詳細設定からフォントを変更してください。

初期パスワードの変更


Raspbian の pi ユーザーは共通の初期パスワードが設定されており、初期状態では起動時も自動的にログインされる設定になっています。

何も設定や入力をすることなくそのまま使えるのは便利なのですが、セキュリティ的にはあまり好ましい状態とは言えません。最低限、使い始める前にパスワードのは変更しておきましょう。

パスワードの変更方法
1. 設定 > Raspberry Pi の設定 を開く。
2. 「システム」タブの「パスワードを変更」をクリックする。
3. パスワードを入力して「OK」。

Current password:  raspberry
新しいパスワードの入力:  任意のパスワード
新しいパスワードを再入力:  任意のパスワード


ソフトウェアのアップデート


最後に以下のコマンドを実行してソフトウェアを最新バージョンにアップデートします。

sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade(または sudo apt-get dist-upgrade

アップデートが終わったら再起動して完了です。

各ソフトウェアのリリース状況により、数分で終わることもあれば数十分かかることもあります。バグ修正などはよく行われるので、このアップデートは定期的に行ってください。

まとめ


上記の手順を行うことで Raspbian Jessie with PIXEL が日本語デスクトップ環境で最低限使える状態に設定できたと思います。

Raspberry Pi 3 は自分が想像していたよりサクサク動き、普通にパソコンとして使えそうなレベルです。スマホで使われるような SoC でデスクトップ OS がここまで動くというのはちょっと驚きでした。

自分はあまり知識がないので高度な使い方はできませんが、電子工作やプログラムができればきっとアイデア次第でいろんなことができるんでしょうね。とりあえず Raspbian (Linux) の使い方を勉強し直して、次は Minecraft のサーバーを作るのを目標にしてみようかなと思います。

2017年2月4日土曜日

Raspbian Jessie with PIXEL のインストール手順


カードサイズのコンピューター「Raspberry Pi 3 Model B」を買いました。動かすにはまず microSD に OS を入れる必要があり、とりあえず使える状態にするため、Raspberry Pi 用の OS「Raspbian Jessie with PIXEL」をインストールしました。自分の行ったインストール手順をまとめておきます。

*追記
最新版の Raspbian は「Raspbian Jessie with Desktop」と名称が変わりましたがインストールの手順は同じです。

用意するもの


Raspberry Pi 
RSコンポーネンツ版(UK製日本製)、element14 版(中国製)と色々あるようですが、どれも性能は同じです。自分は価格の安かった element14 版を買いました。しかし、なんとなくソニーの工場で製造されている RS 版の方が良さそうな気がしてしまいますね。

microSD カード
8GB 以上の microSD を用意してください。この microSD カードに OS を書き込んで使用します。
関連記事:
Raspberry Pi に最適な microSD カードは?【検証してみた】


電源とケーブル
2.5A 以上の給電ができるアダプタを用意してください。
Raspberry Pi 3 は以前のモデルより性能が向上しているため消費電力が多く、負荷をかける使い方をする場合には 2.5A の電源アダプタを使用することが推奨されています。一応 2A のアダプタでも動作はしましたが、負荷がかかるたびに電力不足のマークが表示されていたので、素直に 2.5A 以上のアダプタを使った方が良いと思います。

注意するのはアダプタだけでなく、USB ケーブルも 2.5A の出力に対応したものが必要になります。アダプタに問題がなくても充電ケーブルのせいで十分な給電ができない場合があります(100 均の普通の充電ケーブルを使ったところ電力不足が起きました。)。2A もしくは 2.4A 対応のケーブルであればおそらく大丈夫だろうと思いますが、Raspberry Pi 3 は電源関係の要求が割とシビアなようなので、使うものを選ぶ際には品質にも注意してください。

キーボードとマウス
USB で接続ができる普通のものであれば、有線でも無線でもなんでも OK です。

Logicool ロジクール ワイヤレス ミニマウス ブラック M187BK
iBUFFALO USB接続 有線スタンダードキーボード ブラック BSKBU18BK/N

HDMI ケーブル
ディスプレイやテレビと Raspberry Pi を接続するのに使います。テレビに HDMI でレコーダーなどを接続している場合は、そのケーブルを Raspberry Pi に差し替えるだけでも大丈夫です。少し前の PC 用ディスプレイでは HDMI が付いていないこともあるので、その場合は変換アダプタや変換ケーブルなどを使う必要があるかもしれません。

Raspbian のインストール方法


Raspbian は Debian GNU/Linux をベースに Raspberry Pi 用にカスタマイズされた OS です。

パソコンの場合はインストールメディアから OS をインストールするのが一般的ですが、Raspberry Pi の Raspbian の場合は、パソコンと SD カードリーダーを使って SD カードに書き込みます。Raspberry Pi 単体で Raspbian をインストールすることはできません。

Etcher で microSD へ書き込み


イメージ書き込みアプリ Etcher を使って SD カードに Rasbian のイメージを書き込みます。Etcher は Mac, Linux, Windows の各 OS 版があるので、どの OS からでも同じように書き込むことができます。

1. ダウンロードページから Raspbian Jessie with PIXEL の ZIP ファイルをダウンロードする。

2. ダウンロードした zip ファイルを展開する。

3. etcher.to からイメージ書き込みツールの Etcher をダウンロードしてインストールする。

4. Etcher を起動し、「Select image」をクリックして先ほど展開した Raspbian のイメージファイルを選択する。


5. SD カードをドライブに入れる。(自動的に SD のドライブが選択されます)

6. 「Flash!」をクリックして SD カードに書き込む。


書き込みが終わったら Raspbian Jessie with PIXEL のインストールされた microSD カードのできあがりです。

Raspberry Pi の起動


Raspberry Pi の裏面にあるカードスロットに microSD をセットします。


HDMI ケーブルでディスプレイなどに接続、USB ポートにキーボード、マウスを接続します。Raspberry Pi に電源スイッチはないので電源を接続するとすぐにオンになります。そのため電源は最後に接続するようにしてください。


micro USB の電源を接続すると、Raspberry Pi の電源が入って赤色 LED が点灯し、Raspbian が起動します。

起動中このようなスプラッシュ画面が出ます。

1分ほど待つと Raspbian のデスクトップが表示されます。

Raspbian Jessie with PIXEL が起動しました。

これで Raspbian Jessie with PIXEL のインストールは完了です。

次はネット接続設定や日本語環境を整えたりするなど、Raspbian の初期設定を行い、日本語表示で使えるようにします。

ネットで調べると Linux 関係の解説はコマンドが盛りだくさんであることが多いので、ここではあえてコマンドをなるべく使わない設定手順で進めていきます。

続き: Raspbian Jessie with PIXEL の初期設定